かみの手

2020年6月20日

お蚕さまが浮船にやってきて、4日目。
体長は4.5センチになりました。
人間のような寝姿の蚕ちゃんです。

そろそろ4齢も終わり。中学生から高校生に進学する直前、くらいですね。
食欲が旺盛になってきました。

夜、さらっと桑の葉をあげてから帰宅して

今朝、蚕部屋を訪れると

ご覧のとおり、きれいに食べてくれていました。
実に、気持ちいい。

このあと、お腹をすかせたお蚕さまにはちょっと待っていただいて、お掃除の時間です。
網の下に敷いた新聞紙の上に落ちたふんと細かな桑を掃き集め、石灰をまきます。
網に残った桑の葉や枝を集めます。
きれいになった新聞紙に、網ごとお蚕さまを移動して終了です。

この作業、幼い蚕であればあるほど、気をつかう。
桑の葉の裏や、枝に残ったお蚕さまに気づかず、捨ててしまうことがあるからです。

気をつけて、掃除後に点検しても、まだこわい。
満を持して、一番確かな目を持つ里美さんの登場です。

久米さんと2人、目を皿のようにしてチェックしたはずなのに、見つかる、見つかる。。。
里美さんの手にすくい上げられたお蚕さま、きっと胸をなで下ろしているはずです。

さて、時間を追うごとに成長を続けるお蚕さまは、そろそろ眠りにつきます。
本当に〝寝て〟、起きるといよいよ5齢。食欲最盛期に突入します。
お蚕さまが寝るときの格好はさまざまですが、今日いちばん目立っていたのは、垂直のこのコでした。

(裕)

ささやかな喜び

2020年6月19日

雨!
小高にやっと、恵みの雨が降りました。
朝からテンションが上がります。

5時半、蚕部屋をのぞくと昨日の夕方4時にあげた桑を、一晩できれいに食べてくれていました。

こちらが昨日。

これが今朝。

桑刈りに出かける前に、楽しいできごとがありました。
野良仕事に、newアイテムが加わったのです!

ワークマンに出かけた久米さん。当初の目的だった冷感パンツとチュニックが見つからず、ふと目に入り手に取ったという、その名も「イージー農家さんマスク」。
「のらSTYLE」という名前で意匠登録出願済・特許出願済の製品です。
のらSTYLEの説明として、〝日本にある「野良着」と呼ばれる仕事着。「NORA STYLE」はジャンルに捉(ママ)われない新しい仕事着(野良着)をコンセプトに貴方らしいスタイルを提唱していきます。〟とあります。

ジャンルにとわられない新しい仕事着!
着用すると、こんな感じ。

たしかに、普通のマスクより肌への密着度が少なく(アゴ部分が締め付けられず、布地が顔から離れている)蒸れる感じは少ない。
使用感としては、その少ない密着度がかえって心許ない感じもしたり。。

久米さんは「このマスクいいねぇ!」とご満悦でした。
雨の中、みずみずしい桑を一心不乱に刈る姿をお届けします。

今日の桑はほんとうに、つやつやしておいしそう。
蚕ちゃんたち、浮船に来て3日目で体長は4センチになりました。

(裕)

一晩たつと

2020年6月18日

6月18日、梅雨とは思えぬ爽やかな小高です。

冒頭から脱線しますが、こちらの夕焼けの美しさをお届け。

 

小高川の堤防にひとり立ち、沈んでいく太陽を見るのが至福のときです。

さて、4齢に入ったお蚕さまのお世話は、朝のごはんから。
前日刈った桑を5時半にあげます。お腹をすかせたお蚕さまたちは、青い葉のあちこちにまあるい穴を開けながら、桑をむしゃむしゃ。

いったん帰宅し、人間のわたしたちも朝食をとり、桑畑へ。
朝の早い時間帯に、みずみずしく柔らかな葉を刈ります。
自分が食生活に気をつけるように、だいじなお蚕さまたちにもおいしい桑を食べてほしい。
かっぽう着と手甲、長靴に麦わら帽子で完全装備の久米さんと、黙々とはさみを動かします。

今はまだ刈る桑の束が少ないのですが、繭になる直前の週になると、その量はいまの5倍ほどに。
半年以上ぶりの作業の手慣らしには、いまくらいが適量です。
慣れている久米さんが手際よく整然と桑の束をつくる横で、もたつくわたし。
焦っても仕方なく、丁寧に桑を選ぶことが大事、と自分に言い聞かせながらはさみを動かすしかありません。

お蚕さまはたったの一晩で、5ミリほど大きくなりました。


すぐに気づくくらいその変化は大きく、喜びも楽しみも倍増していきます。
あしたは久々の雨のよう。
桑に水分が行き渡り、さらにおいしくなるよう、期待して今日が終わります。

(裕)

 

2020年の春繭

2020年6月17日

コロナ禍の春、皆さんはどう過ごされましたか。

季節はちゃんと移って、夏。
おかげさまで、浮船の里は平常運転しております。
関東と同日に梅雨入りしたものの、このうえない晴天の小高。
6月17日、毎年お世話になっている田村市都路の稚蚕所に、2020年春のお蚕さまを迎えに行きました。

小高から車で約1時間。到着した先は。。。

この真っ青な空の広がる場所。

厳重な温度管理のもと育てられているお蚕さま。二重扉の向こうに、小高にやってきてくれる蚕ちゃんたちがいました。

朝日を浴びて、神々しくさえ見える蚕ちゃんたち。
体調は2.5センチほどです。

ふたたび山道を小高へ戻るのですが。。。軽バンの後ろにいる大事な蚕ちゃんたち、カーブを曲がるたびに横滑りするので、肝が冷えました。

いまは3齢といって、人間でいうと小学生くらいの生長過程で眠りについています。
蚕が眠りにつく、というのが想像できるか分かりませんが、本当に〝眠って〟いるのです。

写真のように上体を反らし、じっとしています。
眠りから覚めると中学生に値する4齢に入ります。
そうするといよいよ、桑を食むのがお仕事の、成長期のスタートです。

5,000頭の春繭。
だいじに大事に育てます。

(裕)