5,000頭のいのち

2019年9月12日

台風が去った小高へ、3日ぶりに戻ってきました。お蚕さまの上蔟のタイミングに合わず、残念ながらすでにむちゃむちゃ(と聞こえる)音を静かにさせて、一生懸命に繭を作る姿に再会です。

手塩にかけて育てたお蚕さま、もちろん5,000頭すべてがいい繭になってほしいと願いますが、そのいのちの運び方は千差万別。

いつまでもまぶし(繭を作る部屋)に入れずうろうろしているうちに力つきる子、繭を作り始めたのに途中で息絶える子、まぶしいっぱいに大きな繭をつくる子、まぶしの真ん中に小さくちいさく繭を作る子。

健康に繭を作る姿は神々しくすらあります。しかし何度見ても不思議なのは、上蔟の2,3日前はぷっくりと太っていたお蚕さまが、繭になるときには一回り小さくなること。うろうろしている子は真っ白だった体が少し黄ばみ、背中をどくどくと脈打つ体液が見えます。

今日の小高は秋晴れで、とても静かです。盛り土を運ぶダンプが行き交う道路は忙しそうですが、お蚕さまのお世話が落ち着いた浮船の里はのーんびり。遅い夏休みの初日にぴったりの空気感です。 (ゆ)