繭かきの日

2022年10月9日

上蔟から10日。
ここのところ急に気温が下がり、すっきりしない空模様が続いていました。

繭かきの日。

小高の空はこんな晴天に恵まれました。


佐藤さんご夫妻のお宅を訪ね、機械をお借りしての作業です。

これまで10回以上はお邪魔しているはずですが、初めて見る道具がありました。
その名も蚕入機。

上蔟のとき、蚕さんたちがお部屋に入りやすくするための道具です。

 

それから手動の繭かき機。

繭を取り出す作業に、かつてはこのような道具を使っていたそうです。

 

さてさて、今年の繭はどんな出来でしょう。

おお、この簇(まぶし)は入居率が高いな。

 

光に透かして、薄い繭やシミのある繭をあらかじめ取り除いたら、「マユクリン」の出番です。

 

 

ひとつずつになった繭が入るカゴがいっぱいになりました。
育てている最中から、「今年は多いね」とみんなで言っていた蚕の数。

いったいいくつになったのでしょう。

作業が終わったら、いつも通りみんなでお茶の時間です。

おかあさん手作りのお漬物、梨におやつ。
何度もお茶をお代わりして、よもやま話に花が咲きました。

 

残るは繭のカウントのみ。

浮船の里に戻って、100ずつ数える時間です。

「いい繭ができたねー!」の久米さんの笑顔。

 

 

 

光があたると、絹糸はきらきらと輝きます。
それは携帯のカメラでは撮りきれない美しさ。

 

こちらは毎回探すのが楽しみな、個性的な繭たち。

狭くなかったかなぁと心配になる小さいもの、いったいどんな動作でこんなに細長くなったのかと思うもの、十人十色の繭たち。

下の二つは美繭です。

 

ひとつ開けて、中のサナギを出してみました。

 

折り畳まれた羽がわかるでしょうか。手のひらであたたまると、うにうにと動き出します。

 
今年できるようになったこと。
亡くなった蚕にさわれるようになったことと、サナギを持てるようになったこと。

大きな進歩です。

 

 

繭は4,396個でした。

あれ、5,000個なかった!
あんなに「たくさんいるよね」と言っていたけれど、数えてみたらこの結果。

 

今年のお蚕さま仕事は、これで本当にぜんぶおしまいです。

 

最後に原町区で見つけたひまわり畑に寄って、帰宅します。
写真を撮っていたら、女性が通りかかりました。

きれいですね、と声をかけると、ご近所の方と一緒に植えているとのこと。
畑の目の前にお住まいの方でした。
来るたびに知らない景色に出会える。

来るたびに感動する景色がある。

いいところなんだなぁ、南相馬。

(ゆ)