来ました、その時が。
お蚕さまから、「『ずー』になります(なりました)」のお知らせが。
「ず-」とは、繭になる直前の蚕の呼称。
体の色が明らかに変わります。
左がずーさま、右はまだのこ。
飴色になり、ぷりんぷりんに張った体が一回り小さくなるような。
これが〝繭になりますよ〟のお知らせです。
5,000頭のうちずーさまになっているのは、1割にも満ちません。
本格的に上蔟のしつらえにする前に、藁のおうちに移動してもらいました。
ずーさまは、体を大きくのけぞらせます。
そして糸を張る場所を探して、頭を振ります。
こちらは、桑の葉の間に繭を作ろうとしていたずーさまを見つけたので、その場で写したもの。
糸が光に透けて、とてもきれいなのです。
ちょうどずーさまを見つけたとき、小高は朝からの雨が上がり、それはきれいな青空が出ました。
虹を探して外に出たのですが、十分に満足の空。
夜、ふたたび蚕部屋に行くと、さらに数頭のずーさまが見つかりました。
いよいよ明日、蔟(まぶし)を吊して、上蔟の準備です。
今年もいい繭ができますように、今晩は半月によーく願ってから休みます。
そうそう、昼間に探していた虹は、夕方に出ました。
大きなアーチを描き、小高の空を包んでくれました。
(裕)