mimoroneを撮りに。

2017年4月12日

日曜日はmimoroneの撮影で小高へ行っていた。久々に雨が降った。今回は、小高についた瞬間に本降りになった。何度か書いているが、私と小高と言えば雨である。

そういえば、ある一定の場所を意識的に撮りためるというのは初めての経験かもしれない。自然と季節を感じさせるものに目が行く。小高神社も桜が咲き始めていて、もちろん目を引くのだけれど、何も桜だけが春の訪れではない。フキノトウもタンポポも雑草も。春を探そうと思うからこそ、いろんなものに気付ける。

こういう機会がなければ、自分は季節を感じていただろうかと思う。季節の変わり目や、日常の小さな変化というものは、意識しないと通り過ぎていくものかもしれない。

小高神社の桜はこれからが見頃という感じだった。もう少し撮影したかったけど、雨だったので、そこそこに浮船の里に移動して商品の撮影を始めた。雨の音がよく聞こえる静かな浮船の里で、いろんな色の糸と向き合う時間が続いた。mimoroneのneは音である。耳をすませば、いろんな音が聞こえてくるのが、この場所である。

お蚕様を育て、小高の草木を使って、糸を染め上げるというmimoroneの営みは、自然を見つめ、敬い、それでいて能動的に関わる作業だと思う。一つひとつが繊細で、丁寧な作業の上に、この糸は創り出されている。草木が出す色の可能性は無限にあるけれど、引き出すのは人間なのだ。そんな人たちを傍で見ている。関われていることが本当に嬉しい。いろんな人に届いて欲しい。

糸も、風景も、誰かに届けるための写真を撮っている。この糸が持っているものをひとつも漏らさずに写真で届けたいと思う。小高の風景もまた然り。この色を作る風景を、みなさんに届けたい。もうすぐである。待ちきれない気持ちもあるけれど、ゆっくりと進んでいこう。

(木田修作)