5,000頭のいのち

2019年9月12日

台風が去った小高へ、3日ぶりに戻ってきました。お蚕さまの上蔟のタイミングに合わず、残念ながらすでにむちゃむちゃ(と聞こえる)音を静かにさせて、一生懸命に繭を作る姿に再会です。

手塩にかけて育てたお蚕さま、もちろん5,000頭すべてがいい繭になってほしいと願いますが、そのいのちの運び方は千差万別。

いつまでもまぶし(繭を作る部屋)に入れずうろうろしているうちに力つきる子、繭を作り始めたのに途中で息絶える子、まぶしいっぱいに大きな繭をつくる子、まぶしの真ん中に小さくちいさく繭を作る子。

健康に繭を作る姿は神々しくすらあります。しかし何度見ても不思議なのは、上蔟の2,3日前はぷっくりと太っていたお蚕さまが、繭になるときには一回り小さくなること。うろうろしている子は真っ白だった体が少し黄ばみ、背中をどくどくと脈打つ体液が見えます。

今日の小高は秋晴れで、とても静かです。盛り土を運ぶダンプが行き交う道路は忙しそうですが、お蚕さまのお世話が落ち着いた浮船の里はのーんびり。遅い夏休みの初日にぴったりの空気感です。 (ゆ)

2019年9月の小高の日々

2019年9月9日

台風の進路を気にしながら、先週金曜の晩に小高へ向けて神奈川を出発しました。
秋のお蚕さま5,000頭が待つ浮船の里。5齢といって高校生の食欲に達した蚕たちは、日がな1日もしゃもしゃ桑の葉を、食べる、食べる、食べる―。

蚕部屋を開けるとむっと立ち込める青い香りを吸い込んで、おそうじとごはん(桑)やりに追われます。気づくと自分の袖口に蚕がくっついていたりして、なかなか気が抜けない。

そうして自宅に戻った久米さん、台所ですっとんきょうな声を上げました。笑いながら、エプロンのポッケに手を突っ込むと、1頭の蚕。どうやってポッケにおさまったのか、ともかくよくつぶれないでついてきたね。(あらゆる意味でご本人のほうが目立っていますが)お皿にちゃんと保護しました。

少しずつ景色の変わる小高。久米家から歩いて10秒ほどの堤防に出る手前のお宅が、取り壊されていました。浮船の里の後ろの田んぼには、ソーラーパネルを設置する計画があるそうです。そして遮るものがなにもない、広いひろい、小高駅前の陸橋下の田んぼにも。
日曜に葛尾村を抜けて田村市までドライブする途中にも、いたるところにパネルの広場がありました。ソーラーパネルをこんなに置いて、どこの誰に送電してるんだろう。このパネル、どのくらい使えて、寿命を終えた後はどうやって処理するんだろう。仕組みがそもそも分かっていないわたしには、これが〝安全〟で〝便利〟なものなのか、ということすら分かりません。ただ、美しくない、と思うだけ。

 

心やすまるのは、夕焼けや日の出といった自然の営みです。虫の声と風の吹く音、遠くに走る車。それしか聞こえない小高川の堤防で、蚊に刺されまくりながら写真を撮っていました。どうせなら日の出も見たいと久米さんに言うと、翌朝、村上海岸まで連れて行ってくれました。腰まで海に浸かりながら釣りをする人が2人。薄い雲の向こうから力強くのぼる太陽。いろんなものが明らかになる朝が来ました。

予定より成長の早いお蚕さまは、あと2,3日もすれば上蔟しそうな勢いです。
小高の初秋が過ぎてゆきます。(ゆ)

 

藍の生葉染め体験

2019年7月28日

久米家に寄宿中のトレントンをはじめ、オレゴン州のペンドルトン高校からホームステイしている6人が先日、浮船の里で藍の生葉染め体験に挑戦しました。先生は、織り姫の里美ちゃん。かっぱに身を包み完全防備し、藍の葉を水に漬けます。葉をもみだした液に、コースターとハンカチを浸して待つこと約5分。

液からひきあげて絞ると、最初は緑色だったコースターやハンカチが、太陽の下で空気に触れみるみる青色に変化。その様子に、高校生たちは驚いていたそうです。

水洗いして乾燥したコースターとハンカチは、お土産に。日本での藍染め体験に、高校生たちはどんな感想を持ったのでしょう。どんな偶然か、彼らが暮らすオレゴン州の州の色が「インディゴ」=藍なんだそうです。

藍の生葉染めは花が咲くまで、8月いっぱいくらいは体験できるそうです。