脈打ついのち

2020年6月27日

 

5日ぶりの太陽がでました。

ひと刷毛したような色合いですが、それでもうれしい青空です。

浮船の里の蚕部屋では、五月雨が降っていました。
もとい、目を閉じると、五月雨かと思うような蚕の食事の音が静かに広がっています。
さわさわ、さわさわ。
桑を歯で噛む音なのか、体と桑が触れ合う音なのか。

 

5齢も後半にさしかかり、真上から見ると背脈管がくっきりと見えるようになりました。
体の中心を通る管が、写真で伝わるでしょうか。

 

尾部から頭部に体液を送っているそうです。
この脈打つリズムが早いと元気な証拠、と教わりました。
ドクドク、ドクドク。
いのちの鼓動。

 

今日はお掃除の途中で、こんな色のお蚕さんを見つけました。


下が一般的な色です。なめらかな白色。
脱皮ができなかったのかなぁ、と久米さん。
無事に繭になれるかどうか、特別室で見守ることになりました。

 

1日の終わりには、久しぶりの夕焼け。
小高川の土手を歩いていると、夏の匂いがしました。
かつて山小屋で暮らしていたときに、山で香った、夏の匂い。
ふと、記憶を刺激される、6月最後の土曜日です。

 

(裕)

ごめんね

2020年6月26日

しばらく青空が出ない小高。
曇天のもとだと、桑畑の緑がいっそう鮮やかです。

が、やっぱり青い空も見たいなぁ。

毎朝桑刈りに出かけて最初にすることは、前日お掃除した桑の枝や蚕のふんを捨てること。
場所が決まっています。

昨日はそこで2頭、何日か前に捨てた桑の中からお蚕さまが出てきました。
(健気にも、自分で地上に出てくるので発見できるのです。。。)

今日も1頭、極小の蚕ちゃんが見つかりました。

まるで小枝のようで、でも土の茶色に白が浮き上がっていて、目に止まりました。
というよりも、目が点。

体長が3センチほどのところをみると、どうやら畑に4、5日いた計算になります。
こういうときは誠心誠意、謝るしかない。
ごめんね。
声に出して、謝りました。

そして、今日捨てたばかりの桑からも1頭。
こちらは大きかったので、おそらく昨日のお掃除の時に紛れたものかと思います。

すくい上げた2頭を並べて再度、謝罪。

「いいよ」と言ってくれたかのように、大きな蚕さんがこちらを見上げました(都合のいい解釈)。

浮船の里に戻り、上蔟の準備です。
蔟(まぶし)と呼ばれる、蚕が1頭ずつ繭を作るための部屋を掃除。
去年の秋繭養蚕時に使って以来の登場なので、残っている糸やふんを、ブラシと歯ブラシで取り除きます。

普段はおおざっぱな性格なのに、こういうときだけはなぜか徹底的にきれいにしたくなる性分。
久米さんが10個以上仕上げる間に、わたしが手を付けたのはたったの3個。
ちなみに、1つの蔟にはこれだけの糸が残っていました。

柔らかで軽くて、ふわっふわ。

このかわいらしい姿を見ていられるのも、あと2,3日くらいです。

 

(裕)

7センチ

2020年6月25日

梅雨らしい空模様の続く小高です。
けれど毎朝、わたしたちが桑刈りに行くときには、雨脚が弱まってくれます。

お蚕さまの食べる量が目に見えて増えてきたので、つくる桑の束も大きくなってきました。
背負うとこんな感じの束を、今日は6束半ぺろりと平らげてくれました。


久米さんいわく、「もりもり食べるのは明日までかな~」
これからだんだんと、上蔟の準備に入るのです。

蚕ちゃんたち、日に日に存在感を増し、成長の早いコは7センチ超になりました。


(個人的には、浮船の里で使っている定規が横浜FCのステッカー付き、というのが一番のツボです)

この食欲旺盛な方たちにかかると、前日の晩にたっぷり置いていった桑も一晩でこの通り。

葉脈は固いからきらいなのね、きっと。
と、分かりやすい食べ残し方。

向かって左手がお食後、右手がお食事です。

 

久米さんが、蚕部屋のお掃除中にすっとんきょうな声をあげました。

今日はいったいなに?
と思ったら。。。

 

どうやったらお洋服に2頭も蚕がくっつくんでしょう。
わたしには1頭もつきません。

なにが違うの、蚕ちゃん。


(裕)

教訓

2020年6月24日

朝一番で、車がぬまった。

これがどういう状況か、伝わるでしょうか。。。

 

正解は、「泥にハマった」でした。

これはぬまった状態から脱した後に、怒る準備をしている久米さん。

ではなく、安堵している久米さんです。

小高は昨晩から雨が降り続いていました。
車1台通れる細い道(かろうじて轍あり、程度)を、「バックで車道に戻るか、前進して右前方の空き地でUターンしたら」と、助手席の久米さんが言ったのは確かに聞いていました。

わたしは、「ほんの少し前進して左手の空き地でUターン」をしました。
左手の空き地はもともと畑だった場所だったそうです。
加えて降り続く雨。
柔らかな土はデコボコになり、そこに左前輪と右後輪が埋まった結果、「ぬまり」ました。

ドライブとバック、どちらでアクセルを踏んでも「ブーン!!」と虚しい音が空を切る。
車体を押してみたり、車輪の下に段ボールを敷いてみたり、ややしばらく奮闘しました。
久米さんに運転を代わり、幾度かハンドルを切り直してやっと脱出できた次第です。

(中心部から離れた山中にJAF来てくれるかな、と内心本気で心配)

車道に出ても止まらない笑いの途中で、久米さんに言ってみました。
「人生、前進あるのみでしょ!?」
「言うこと聞いて、前進して『右の空き地でUターン』すればよかったんじゃないの!?」

おっしゃる通り。
でも、左の空き地だって、平らに見えたんだもん。

昨日、ブログのネタがお蚕さま以外にないねぇと話していたのを、小高のかみさまに聞かれていたんだな、きっと。

浮船に戻ると、お腹を空かせた蚕たちが待っていました。


前日夕方にあげた桑の葉に、鈴なりの蚕がぶらさがるのは5齢ならでは。
明らかに、また一晩で大きくなった蚕たちですが、掃除をしたあと葉にくっついているのを見逃してしまうのは相変わらずです。

今日は里美ちゃんに、これだけ救われました。

 

午前中で体力を使い果たしたので、お昼は浪江まで出張っておいしいものをいただきました。


教訓。
年長者の言うことは、素直に聞くべし。

(裕)

事欠かない

2020年6月23日

小高を知っている方もそうでない方も、読んでくださる方には、浮船の里の久米さんや里美ちゃん、お蚕さまの様子をなんとかして伝えたい、と思いながらブログを書いています。
お蚕さまは5齢に入り、とにかく桑をよく食べます。
と、同じことを連日書くのはつまらない。
しかし今日は雨。水を得て、桑は元気につやつやしていることは先日伝えたし。。。

というわけで今日は確たる目的を持って、蚕のおしりばかりを追いかけていました。
が、希望が達成できなかったので、フォトジェニックな蚕ちゃんたちをしばしお楽しみいただきつつ。


身をなげうって、ぺたーんと寝る。
これは桑を食べたあとの食休みで、3分後にもぞもぞ動いて再び口を動かしはじめました。

 

おなじ日にこの世に生まれ落ちた2頭。歩み具合はそれぞれですね。

 

隣人が自分のあたまにおしりを乗せても、文句一つ言わない寛容さ。


そして今日いちばんかわいかったのは、前のめりになって寝ているこのコ。
一見ヒヤッとしますが、大丈夫、ちゃんと起きました。

こんな風に写真を撮っていると、30分などすぐに過ぎます。
夕方、桑をあげてさぁ帰ろうかと向かいに座る久米さんを見ると、なにかが胸のあたりで動いていました。

思わず悲鳴をあげたのは、いうまでもありません。

アップにすると

 

わたしたちはとにかく頻繁に蚕部屋をのぞきます。
だまーって蚕を見ているのが、とにかくおもしろいから。
というより、見ていると時間が自然と経ってしまう、というほうが近いでしょうか。

五月雨のような音をさせて青い香りの桑を食むその姿を、ただ見ているだけ。
で、久米さんは、どういうわけか胸に蚕をくっつけて部屋に戻ってきたのでした。

とにかく潰されないでよかった。。。
くっつきたかったのね、大事にしてくれる人に。

こうして結果的に、ブログの内容には事欠かない、浮船の里の毎日です。
(裕)