油断大敵

2022年9月19日

9月19日朝。
昨晩は台風の影響で風が強く吹いていました。
この様子では日の出はとても期待できないであろうと思ったものの5時に目覚しをセット。
カーテンを開けるとどんよりと暗い空が広がっていました。
5時半起床で桑畑に行く予定だったので、出発まで15分ほどだらだらとベッドに横たわっていると。。。
東の空が、ほんのりと薄紅色に染まっていました。
あぁ、油断したな。
たかが朝焼け、されど朝焼け。
美しい空は、今日という一日の始まりを前に気持ちを鼓舞してくれる効用があると思うのです。

朝一番の桑を食べてもらおうと蚕小屋に行くと、昨晩8時にたっぷりあげた桑の葉は

こんな状態になっていました。

小枝もすこぅし太くなった気がします。

さらっと桑の葉をあげただけ、たったの10分くらいの滞在だったのに、やられました。
久米さんのエプロンの胸元に、白く動くモノ。
ふと見た足下と、外履きの甲の部分にも、いました。

油断ならぬ。
どうやってくっついて来たのかしら。
計3頭のお蚕さまがしれっとベッドから抜け出したところを発見され、「こらこら」とベッドへ戻されました。

いったん帰宅し、今日最初の大仕事、おはぎづくりです。
昨日、佐藤さんのおかあさんにいただいた小豆を、久米さんがおいしく煮てくれました。
佐藤さんからはお手製のずんだのあんもいただいて、きれいな二色のおはぎが完成。

手作りって、どうしてこんなにおいしいのでしょう。
小豆のつぶれ具合も甘さも、ちょうどいいあんこで、ぺろりと食べてしまいそう。

おいしく出来たおはぎを佐藤さんご夫妻へのお土産にして、桑畑に繰り出しました。
蒸し暑いなか、最初はどんより曇っていたのに次第に晴れ間が出てきて、雨具を着たわたしたちはじっとりと汗をかくほどに。
すばらしい生育ぶりのためあっという間に欲しい分だけ刈れた桑を浮船号(軽バン)に積み、お蚕さんのところに戻りました。

今度ははっきりと、昨日よりも大きくなったと感じます。
そして、なんか、多くない?
5,000頭と言われて貰ってきましたが、例年の5,000頭よりも明らかに多いような。。
次に会う時はチョークくらいに大きくなっているかしら。
台風から逃げてきたはずなのに、また台風のなかへ帰ります。(ゆ)

似て非なるもの

2022年9月18日

台風から逃げるように、小高に来ました。

なんってったって昨日、秋のお蚕さまが浮船の里にやってきたのです。
これは会いに行かない訳にはいきません。

春に続き、5,000頭。
起きて4齢の蚕は、チョコレート菓子の小枝にそっくり。ちいちゃくて、かわいいのです。
久米さんと、朝一番で桑刈りに行きました。
春は生育に気をもんだ桑の枝、今回は大が100個つくくらいの成長ぶり!本当に美しい若緑の葉が高々と生い茂り、いくらでも蚕に食べてもらえそうな姿で安心しました。

今日の小高は、台風の影響もあってか蒸し暑い一日でした。
汗をふきふき桑を刈ります。

そうそう、この秋はクワコによく出会います。
クワコとは、野生の蚕さん。おおまかなシルエットは家蚕と同じなのですが、色が明らかに違います。
見つければ桑畑に置いてくるのですが、葉について帰ってくることもあったりして。

真ん中がクワコです(囲まれちゃって、ちょっとイチャモンつけられているみたい。。笑)

新鮮な桑をたっぷりあげて掃除をして、わたしたちもひと休みしてから小高のまちを飛んで歩いていると、桑畑を貸してくださっている佐藤さんのおかあさんの姿が見えました。

声を掛けたら、始まったのはミニ講習会。
丁寧に、桑の枝を伐る場所、伐り方、葉の残し方を教えてくださいました。


あっという間に一日が終わり、夕方6時半、寝る前のご飯タイムで蚕小屋を訪れたときにふと思いました。
こうして何年も同じこと(数は異なるときもあるけれど、6月と9月に約5,000頭の養蚕)をしているはずなのに、どうして毎回新鮮な気持ちでいられるんだろう。
目の前にいる蚕さんたちとも「初めまして」なら、ここにいる自分自身の心持ちも違う。
わたしたちはいつも新しい毎日を生きている、ということなんでしょうか。

明日になったら、小枝からどのくらい成長しているかしら。
さわさわそよぐ桜並木の葉の音を聴きながら、久米家の台所で新しい明日に思いを馳せます。(ゆ)