解除の日

2016年7月14日

2016年7月12日(火)―。南相馬市小高区は、高線量の一部地域を除き、避難指示が解除されました。

わたしは小高区の住民ではありません。けれどこの日を小高で迎えたかった。すでに避難指示が解除された12日の午前0時を過ぎてから小高に入りました。街はいつもと同じようにとても静か。まだ眠っていました。

太陽が昇り、午前7時。小高駅前に向かうと国・県・市・区の職員やJR常磐線の駅員に消防団、そして多くの報道陣が集まっていました。7時30分、原ノ町を5年4か月ぶりに発車した下り電車が、野馬追の旗指物はためく小高駅のホームに滑り込んできました。始発軽い

そしてわずかな乗客を乗せ、電車は原ノ町に向かって折り返してゆきます。のぼり軽い駅前では式典が始まっていました。

「避難指示が解除になった今日がゴールではなく、今日はスタートの日です」。こうあいさつをする人がいました。

ゴールとは、スタートとは。さまざまな人が、さまざまな思いを抱え、その場にいたのではないでしょうか。

あすなろ交流広場に戻ると、久米さんがあげたこいのぼりが、風に乗って自由に泳いでいました。天気は快晴。青空に、映えます。こいのぼり軽い

この日も、浮船の里はいつもどおりでした。7月1日にあすなろ交流広場にやって来たいとしいお蚕さまたちは、5齢を迎え、食欲旺盛。もりもり、もりもり桑の葉を食べます。一生懸命に。

久米さんも里美さんも愛子さんも、糸を紡ぎ、織り、お蚕さまのお世話をし、日常を生きていました。

これからも、浮船の里ではこんな時間を過ごしてゆくのだと思います。みなで集い、語り、笑い、時には泣き、その時間をともにしながら、日常を過ごしてゆくのです。

お蚕さまが中心にいて、それに魅せられた人たちが集う浮船の里は、これまでと変わらず、ここを訪れる人を迎えてくれると思います。 (裕)

お蚕さま軽い